華梨のいけばな日記

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花、うつりゆくよしなこと 夏〜秋編

 
・ススキ
・かすみ草
木瓜(ボケ)  新規up!
 
 ☆木瓜 新規up!
 講習会のお手伝いをしました。
前日から準備があり、体力的にはキツイのですが、間近で講師の作品製作を見ることができるので勉強になります。
 今回、準備した花材の中でもとりわけ見事だった木瓜
花も開花、葉も枝ぶりも十分でした。
 
 木瓜の花は、秋咲きや四季咲きの品種があり、いつでも咲いているからボケだとか、、。
 
 ボケはバラ科、トゲがあるので扱いには注意が必要です。
でも、丸い花が可愛らしいです。
 
☆ススキ
 都会でも路地の片隅にみられる、夏の終わりから初秋を感じさせる身近な植物です。葉の美しくなびく線も良いですが、穂の部分をまとめてフワフワ感を出すのもかわいいです。
 葉に白いフの入ったものは「鷹の葉すすき(矢はずすすき)」。
刈り取り後は水が下り、葉が縮まってしまうので、切り口を熱湯に10秒程つけた後、冷水につけておきます。 
 
 苗は地植えすると、どんどん増え、広がります。 
限られた場所で育てる時は、鉢に入れたまま植えます。
 
 
 
 夏の間、毎朝、元気な姿をみせてくれた朝顔も9月に入り、晩花のなごりを惜しむ頃になりました。
 
 朝顔の切り花は、お花屋さんの店頭で見ることはありません。
開花は1日だけ、夕方には萎んでしまうので商品としてはタイミングが難しいですね。
 
 池坊には、朝顔の伝花(今日まで伝えられている生け方)があります。
夕方、地植えの朝顔の中から、次の朝に開花しそうな蕾を選び切り取ります。
茎が細いので、他の植物の枝に巻き付けて自立させ、
花が開いた状態を想像しながらバランスをとります。
夜は、翌朝の姿を楽しみにして寝入るのです。
 
今年の夏は、夕方に蕾を探し、翌朝の開花を楽しむ、時間と心の余裕がなく、
来年こそはと思いながら、朝顔の種を採取しました。
朝顔の伝花は、昔の人の心の豊かさを伝えてくれます。
 
 

 

今年の朝顔の種は収穫完了。

来年の初夏まで、常温保管です。

 

 
 
☆カスミソウ
 
 白く小さな花が可愛らしい、花束に添えらることが多い、かすみ草。
 
 口の広い花瓶の真中に花を立てたいとき、花瓶の口全体にかすみ草を広げて入れると、花留め代わりになります。
 
 重たい花を高く使うのは厳しいですが、小花くらいは十分耐えます。
 
 ドライのカスミソウは枝の耐久力がなくなるので、花留めには不向きです。
 
 昔、先生から、かすみ草をたくさん使うなら値段の安い夏が良いと言われましたが、今は海外からの輸入や温室栽培も可能です。
 
花の価格は需要と供給のバランスで変わります。
 
その時期その時に、手に入りやすい植物を使うことが、無理のない作品作りに繋がると思います。
 

 

かすみ草はドライフラワーになるので、

記念日は花束にして、長く楽しむのもいいですね。

 
 
 
 金木犀の良い香りがしてきました。オレンジの小さな花がたくさんついています。1年に数日間だけ、芳醇な香りを辺り一面に放ちます。
 
そして彼岸花。その名の通りお彼岸に合わせ、毎年見事な赤い花を咲かせます。
 
 いけばな池坊の伝書には、「葉のない花」、「匂いのある花」は、用いてはいけない花材(禁花)とあります。
葉がない彼岸花と、強い香りの金木犀の花は禁花です。
 
 しかし、これまでに一度だけ彼岸花を使った作品を、花展会場で見たことがあります。
 
その作品は、黒色の背景と背景に溶け込むような色の水盤の器に水面を大きく広げ、スポットライトで水面の一点を照らし、その焦点に彼岸花が数本立てられていました。
 
とても素敵な作品だったこと、そして禁花である彼岸花が用いられていたこともあり、今も記憶に残っています。
 
 伝書には「くるしからず」という言葉が、よく出てきます。
「状況で判断してください」という意味です。
花展会場で使われた彼岸花は「くるしからず」だったのでしょう。
 
 しかし金木犀の花を使った作品は、これまで見たことありません。
香りが強すぎて他の香り、存在を打ち消してしまいます。
 
金木犀の花は、一人で楽しむのが良いようです。